抗菌下着が菌を抑える仕組みについて

更新日:2019年10月28日 1,365 PV

「抗菌加工」の表示を見て、「この下着は抗菌してくれるんだ!」と認識するかたは多いかもしれませんが、その「抗菌の仕組み」自体は意外にも知らないままになっていませんでしょうか?そこで今回は、抗菌下着が菌を抑える仕組みについて解説します。これからの下着購入の際にとても役に立つ知識になります。

目次

抗菌とは

どうなれば、抗菌なの?

私たちは「抗菌加工」という表示を見ると、それだけで、菌を防いでくれると認識している傾向にあると思います。

しかし、重要なのは、そもそも、抗菌がどのように定義されているかということです。

抗菌とは「菌の増殖を抑制する」ことです。これは、菌が住みにくい環境をあらかじめつくることを意味します。

抗菌は直接菌を殺したり取り除いたりする効果ではなく、菌の増殖を抑制することを意味します。

つまり、「これから使うものは菌の増殖を抑制しますよ」というのが抗菌です。

除菌や殺菌のように、菌を取り除くのではなく、菌がそもそも取りつくことを避けるものという認識を持つべきです。

下着の抗菌加工の仕組み

抗菌下着はどうやって抗菌しているの?

日本の国家標準の一つとなっているJIS(日本工業規格)では、抗菌加工は、加工されていない製品の表面と比較し、細菌の増殖割合が100分の1以下(抗菌活性値2以上)である場合、その製品に抗菌効果があると規定しています。

つまり、抗菌加工は、表面上で細菌の増殖割合が100分の1以下の加工を施したものと言えることが言えます。

金属を用いる方法

抗菌や消臭ではよく「金属」が出でてきます。有名なものの一つに「Ag(銅)」があります。その他にも銀やチタンがよく利用されるのですが、金属が抗菌に関係しているのは、細菌には特定の金属を嫌う性質があるからです。

例えば、大腸菌0157は銅片を置いたところだけ菌が増殖しないということが起こります。また、酸化チタンは光触媒採用で抗菌だけでなく殺菌の機能を持つことが分かっています。

抗菌加工に注目する際は、ぜひ、金属的成分に着目してみると良いでしょう。

抗菌加工と生地(繊維)の関係

生地(繊維)で抗菌効果は変わるの?

衣類には菌が増殖します。これは皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌が、Tシャツに付着した汗や皮脂、汚れを餌にして増殖してしまうためです。

コーティング式

コーティング方式は、完成された生地に抗菌剤をスプレーや上からコーティングする手法です。生地全体が抗菌剤で覆われるので即効性がありますが、洗濯を繰り返すことで効果が薄れてしまうデメリットがあります。コーティング式の場合は、約2時間で抗菌効果を示すことが確認されています

練り込み方式

練り込み式は線維の中まで練り込まれた抗菌剤の上に付着した菌に対して効果があり、洗濯に強い(洗濯耐久性に優れている)反面、抗菌効果が出るまでに時間がかかると言われています。

抗菌加工の安全性

下着だけでなく、家具などの販売ページなどには、「抗菌加工剤に含まれる有害物質や抗菌剤の安全性に心配な方にお奨め」といったように、抗菌加工をしていないことを逆に安全だと主張する業者も存在します。

こうした健康の概念をかえりみる際に大事なのが、私たちが接しているものは、自然に根差しているかどうかです。あまりにも人工的なものであれば、その加工は一つの機能性で大きな長所になっても、私たちに別の要素で不具合を与える可能性も承知しておく必要があります。

下着においては、抗菌加工よりも、着用と洗濯のサイクルを最適化したり、1日の中でもケースによっては下着を替えたりする、といったような取り組みのほうが大事のようにも感じます。

抗菌加工だけに頼らずに、下着を清潔に保とう!

清潔な下着をずっと着用できる環境づくりを

こうした流れから、抗菌が「完璧」ではないことが分かったと思います。私たちは、加工されているものに安心せずに、自然の流れでやるべき対策をやる、これが一番最適なのかもしれません。

特に家庭では、清潔な下着をずっと着用できる環境づくりを意識したいところです。下着は菌だけに注目すればいいわけではありません。例えば、進学高で必死に勉強についていっているお子さんが、子どものころからのアトピー体質で、勉強のストレスと下着の衣擦れで、肌のダメージを受けていれば、いくら抗菌していようと、肌を掻きむしってしまう可能性があります。

「これをやれば、すべてが消える」という考えより、小さな変化は、別の小さな変化と掛け合わさって、大きな変化やダメージになるという思考が、健やかな下着ライフを築くうえでは非常に大切なのです。

最後に:抗菌は重大な側面だけを気にしよう

菌は共存してくものである

今回は、抗菌下着が菌を抑える仕組みについてお伝えしてきました。抗菌は圧倒的な猛威を振るうだけに注目し、日頃の小さな菌は向き合うぐらいが丁度いいかもしれません。それでいて、私たちは要所要所で清潔感を保つことが大切なのかもしれません。

ある程度の菌との触れ合いは、皮膚や口からの腸内細菌の多様性を活性化し、逆に免疫力、代謝力、栄養吸収力を高めるとも言われています。毒になる程度の菌なのか、むしろ、薬になる菌なのか私たちは徹底的に向き合う必要があります。例えば、漬物、納豆、ヨーグルトなどの食を通じて得られるのは、菌には変わりませんが、体の免疫力、代謝力、栄養吸収力を高める良いものだと捉えられています。

菌はすべて悪いという認知を持つことなく、菌についての知識を深めていくようにしたいですね。

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この記事を編集した人

美着家 Masami

医療・健康・健康・心理学など様々なジャンルの執筆を行っています。本サイトでは、美着家として、下着や衣類に関して独自のアプローチで研究をしています。

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