あら?意外に簡単! 洗濯方法をマスターして、もっとシルクを身近に
シルクは「繊維の女王」として、古代より世界中の人々を魅了し続けてきました。けれども、最近は「洗濯が難しそう」という理由で敬遠されることがあります。シルクのお洗濯は、本当に難しいのでしょうか?
今回の記事では、おうちでできるシルクのお手入れのコツをご紹介。洗濯方法さえマスターすれば、シルクのお手入れは意外に簡単。もっともっとシルクが身近になれば、おしゃれの幅も格段に広がりますよ。
目次
シルクってどんな生地?
シルクは日本語で「絹」「生糸」と呼ばれ、邪馬台国の時代から日本に存在していたと言われています。同じく滑らかな手触りが魅力のレーヨンは化学繊維ですが、シルクは天然繊維。また天然繊維中でも、コットンなどの植物繊維ではなく、ウールなどと同じ動物繊維に分類されます。シルクの素晴らしい肌触りや高級感あふれる光沢は古くから多くの人の心をとらえて離しません。上質なシルクを身にまとうことは世界中の女性の憧れでもありますよね。
シルクの魅力は見た目や肌触りだけではありません。シルクは、蚕の繭から糸を紡いで作られます。繭は、さなぎ状態の蚕を外敵から守る殻のような存在。そのためシルクには紫外線防止や保温など、さまざまな特長があります。そんなシルクのメリット、そしてデメリットを整理してみましょう。
シルクのメリット
- 上品な光沢がある。
- 肌触り・肌馴染みが良い。
- 薄くて軽やか。
- 吸湿性・放湿性に優れている。
- 保温性が高い。
- 紫外線をカットしてくれる。
- 染料が浸透しやすいため、布の色合いが美しい。
- シルクプロテインには美肌効果がある。
- 抗菌作用がある。
- 吸湿性が高いため、静電気が起きにくい。
シルクのデメリット
- 日光によって、黄色く変色しやすい。
- 摩擦に弱く、繰り返し着用するうちに毛羽立つこともある。
- 合成洗剤や乾燥機などによって、色落ちや縮みが起こりやすい。
- 虫食いの被害に遭いやすい。
- 他の素材よりも高価。
シルクというと、着物やフォーマルドレスのイメージがありますが、吸湿性と放湿性が必要な下着やパジャマ、首の日焼けを防いでくれるスカーフなど、日常生活の中でも使い道は色々あります。シルクは高価ですが、利用し続けることにより「10年後の肌が変わってくれる」と言われるほど利用価値の高い素材です。特に敏感肌や化繊アレルギーの人にとっては、悩みを解決してくれる鍵となることもあるでしょう。洗濯やお手入れの大変さだけを理由に、利用しないのはもったいないですよ。
シルクの洗濯方法をマスターしましょう
「シルクは、必ずクリーニング店出さなくてはいけない」ということは、決してありません。まずは、それぞれのアイテムについている洗濯表示を確認しましょう。桶に手が入っている表示があれば、家庭で手洗いすることができます。けれども桶にバツと描かれてある表示があれば「家庭での洗濯処理はできない」という意味なので、クリーニング店に出しましょう。
手洗いOKのものの場合も、念のために洗濯をする前に色移りテストした方が安心です。「色写りテスト?」と構える必要はありません。必要なものは少量の水だけ。そして、5分もあればできるのです。簡単にでは下記に色写りテストのやり方をご紹介しましょう。
シルクの色移りテストのやり方
- 目立たない部分に水を少し垂らす。
- 濡らして5分後に別布やティッシュでたたく。
- 色移りしたら、水洗いを諦めてドライクリニーニングに切り替える。
色移りしなかった場合は、桶などを使って丁寧に手洗いをしましょう。その際は、粉末洗剤などのアルカリ性洗剤の利用を避け、衣類への負担が少ない中性洗剤を利用して下さい。
それでは、いよいよ洗濯です。手洗い方法と洗濯機で洗う方法をそれぞれ見てみましょう。
シルクの手洗い方法
- 20℃くらいのぬるま湯に洗剤をとかして、洗い液を作る。
- シルクを、洗い液の中で左右に優しく振る。ゴシゴシ洗ったり、長時間水にさらしたりしないようにする。
- 同じく20℃くらいのぬるま湯の中ですすぎ、水のにごりがなくなるまで繰り返す。
- バスタオルで軽く包んで水分を吸わせる。
- 洗濯バサミは型崩れの原因になるため、干す時は日陰で平干しをする。
- アイロンをあてる時は、半乾きの状態で、低めの温度であてると失敗しにくい。
シルクは基本的に手洗いがおすすめですが、桶の中に30や40などの数字が書かれた洗濯表示があれば、洗濯機にかけることも可能です。ただその場合でも、シルクに合った洗剤や洗濯コースを選ぶことは必須条件。また毎日着るパジャマでも、洗濯は3日に1回程度にとどめた方が、生地は長持ちするでしょう。
シルクを洗濯機で洗う方法
- 汚れた部分を外側にしてたたみ、ネットに入れる。
- おしゃれ着用の中性洗剤を使用して、やさしく洗えるコースを選ぶ。
- 柔軟剤などは、最後のすすぎのタイミングで投入する。
- 脱水は、15〜30秒程度にとどめる。もしくはタオルドライのみ。
- 手洗いの時と同じく、日陰で平干しをする。
もし洗濯で失敗して、大切なシルクアイテムがゴワゴワになってしまった場合でも、ドライ用洗剤やクエン酸につけ込めば、ある程度手触りは復活します。もしそれらが家庭にない場合、シャンプーやコンディショナーを試して下さい。シルクには、頭髪と同じたんぱく質が含まれているためこれらを使用することで、滑らかな手触りが復活します。シャンプーに10分、すすいだ後にコンディショナーに5分つけ込むだけでOKです。その際は、ノンシリコンシャンプーではなく、アモジメチコン(ジメチコン)などのシリコン素材が入ったシャンプーを使って下さい。
知ってしまえば、「え?これだけ?」と思った人も多いのでは? シルクはコツさえマスターすれば、意外に簡単に扱える製品なのです。
シルクは基本的に家庭内でも洗濯が可能な素材ですが、もし桶のイラストにバツがついた表示がある場合や、家での洗濯には自信がないという場合は、迷わずクリーニング店にお願いしましょう。
シルクの保管は、通気と防虫がポイント
シルクは洗濯の方法だけでなく、保管の方法にも少し工夫が必要です。クリーニングに衣類を出した場合、たいていの服はクリーニング店が用意したビニール製の袋に入れられて戻ってきますよね。「誇りもつかないし、そのままで良し!」と放置していませんか? シルク製品の保管は通気性がとても大切です。クリーニング店からシルクが戻ってきたら、まずはビニール袋から出して風通しの良い場所に干しましょう。ただし、シルクは紫外線や蛍光灯の明かりなどに弱く、光に反応して変色することがあります。干す場所、保管場所には要注意です。保管する際は、不織布など通気性のあるものに移してから片づけるのが良いでしょう。また、シルクは虫のお気に入り。クローゼットに保管する場合は、防虫剤も忘れずに入れて下さいね。少しの手間が、虫食いやカビから大切なシルクを守ります。
日常生活に、シルクを取り込みましょう
シルクは、見た目や肌触りだけでなく、非常に機能性が優れた素材です。また洗濯方法や保管方法にはコツがありますが、お手入れは思ったよりも簡単。取り扱い方さえマスターすれば、シルクをもっと身近に感じることができるでしょう。シルクはシャツなどの洋服だけでなく、下着の素材としても活用されています。下着のシルク商品は洗濯機で気軽に洗えるものも多いため、洗濯表示を確認して、商品に合ったお手入れができるといいですね。私たちに多くのメリットを与えてくれるシルクをもっと生活に取り入れて、心も体も豊かにワンランクアップさせましょう。
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