子供が外で遊ぶ効果:記憶力向上からリラックス効果まで
スマホやネットのデジタルと強い関わりを持つようになった生活スタイルにおいて、今注目されているのが「外遊び」です。脳科学や神経科学などの分野で、外遊びが、子供の学習能力・記憶力の向上だけでなく、大人の疲労回復や生産性向上まで、様々な効果が示唆されています。そこで今回は、子供が外で遊ぶ効果を分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
目次
効果1:自然と触れ合うことで副交感神経は活性化する
子供が外で遊べば、リラックスできる
副交感神経が活性化されると、人はリラックスすることができます。2016年にイギリスのダービー大学が871人分のデータをまとめた結果によると、自然と触れ合うことで副交感神経は活性化され、マッサージのリラクゼーションよりも、その25%も高い活性レベルだと分かりました。
子供がハイキングや森林浴を楽しめるように背中を押すことはとても良いことなのです。
効果2:外での鬼ごっこは脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌を増やす
子供が外で遊べば、学習能力が高まる
皆さんは脳由来神経栄養因子と呼ばれるBDNFをご存知でしょうか?BDNFの分泌量が多くなれば、脳の細胞間のつながりを強化し、学習や記憶の力を高めることができます。
そして、最もBDNFを増やせる活動は、有酸素運動だと言われています。子供が最も自発的に有酸素運動することを想定すると、「鬼ごっこ」のように外で遊ぶときですよね。
効果3:外で遊ぶことは酸素の供給量を増やす
子供が外で遊べば、良い空気を脳に送ることができる
スタンフォード大学の研究チームが176名を対象に行った実験で、ウォーキングをしながらテストを受けた人は、歩かずにテストを受けた被験者よりも60%も成績が良いことが分かりました。
外で遊ぶことで、酸素の供給量が増えれば、体の老廃物がしっかり取り除かれます。血流も良くなるため、脳のパフォーマンスも高くなります。
効果4:外で遊ぶことは子供のワーキングメモリを高める
常に煩雑な環境を避けることができる
瞬時にストーリーを読み取ったり、暗算を行う脳の機能をワーキングメモリと呼びます。ワーキングメモリは短期記憶を長期記憶に橋渡しする役割があり、その容量はとても限られています。
ワーキングメモリが優れていれば、限られた時間のテストなどのパフォーマンスが高まります。「集中力がある子供」とはワーキングメモリをフル活用する子供とも言えるでしょう。
ワーキングメモリの機能を高めるコツは、「普段から1つのことに思いっきり取り組む習慣を作ること」です。これを脳科学や神経科学などの学問分野では「フロー状態」や「マインドフルネス」と言います。
今はネットやスマホがあるため、四六時中「ながら」が可能になっています。ワーキングメモリを鍛えることに関して言えば、スマホやネットは敵になる部分が多くなります。特に子供が「スマホやネットを使って絶対にコレがしたい!」と思っていない状況で、なんとなくネットサーフィンをするような習慣は、集中力を下げることに繋がるとも言えます。
デジタルデトックスを行い、外で遊んでしまえば、外で遊んでいる時間は、その遊ぶに集中できます。もちろん、休憩中にスマホを見るなどはしてはいけません。思いっきり外で遊んでもらうのです。
数十年前なら「外で思いっきり遊ぶ」ことはかなり当たり前でしたよね。しかし、今は時代の仕組みが変わり、子供の脳にとっては外で遊ぶことがかなり大切になっているのです。
効果5:組体操など揃える系の遊びは子供の炎症レベルを劇的に改善する
同調するような外遊びは子供を総合的に幸福にする
2016年にオックスフォード大学が40代の男女が135人を合唱、美術、作文を行うグループに振り分け、その効果を測定しました。
すると、7ヵ月後には、人生の満足度、自分に対する肯定感、炎症レベルの変化で合唱に参加した人の改善値が飛び抜けて高かったことが分かりました。
この研究が推測することには「みんなで一緒に行う遊ぶ」に意味があるようです。
子供に置き換えると、外でダンスをすることは非常に良いですよね。もしかすると、鬼にタッチするまで全体調和的な展開が進む「だるまさんがころんだ」すらも、子供の幸福度を高めるかもしれません。
そう考えると、運動会の創作ダンスや組体操に意味があることも理解できますよね。
子供がより子どもが快適に外遊びする3つ方法
方法1、夜のデジタル刺激をなるべく避けよう
外遊びをしても、1日の最後、特に睡眠前にデジタルをたくさん浴びると、子供の脳は疲れ切ってしまいます。スマホでネットサーフィンをするだけでも、脳は思考を切り替え、多様な処理を行うからです。
とはいっても子供はゲームやネットをしたくなるものです。シューティングゲームのようにフィードバックが単純なものを短時間行うぐらいであれば、子供の脳は疲れにくいと言えるでしょう。
逆にSNSやオンラインゲームのように、他人と比較したり、他人と関わったりするようなものは、思考が一気に煩雑になるものは夜には良くないです。
夜のデジタル刺激をなるべく自然に避けられるようにして下さい。その点で言うと、外遊びで疲れたり、部活で疲れたりすれば、それどころじゃなく眠くなるので、自然なデジタルデトックスが促せるのも外遊びの魅力だと言えます。
方法2、効果的な下着で外遊び効果がさらに高まる!
お子さんの肌にあった下着を選んで遊んでもらうことで、外遊びにより集中でき、外遊びの恩恵を受けることができます。
また、下着を「替え」を子供に持参させて、外遊びをした後も体を健やかで気持ちよいものに保つことも大切です。
方法3、外遊び後の部屋着で副交感神経を優位に
睡眠までをすっきりと持っていくことが大切なことは前に述べました。そのことを考えると、部屋着の質を高めることができれば、副交感神経を優位になります。
子供にとって肌触りが良いものを選んだり、部屋着を2着にして、日々洗濯を行うのも良いでしょう。
最後に:子供が外遊びして家ですっきりできる環境がベスト
落ち着くことが難しい時代の子供をしっかりサポートしよう
昔と違って心身を落ち着かせることが非常に難しい時代となっています。
脳科学的に言えば、①コルチゾールが高レベルになりやすく、②ドーパミンが麻痺しやすく、③オキシトシン不足しやすくで、④セロトニンが不安定になりやすい時代だということです。
子供が外で遊ぶことに一点集中し、帰ってきた家庭の環境が心地よい、これがいかに子供の成長に素晴らしいことか、今回の記事で少しでもご理解いただけたら幸いです。
子供はかけがえのない存在です。落ち着くことが難しい時代の子供をしっかりサポートしていきたいですね。
鈴木祐(2018)『最高の体調』,p.111,株式会社クロスメディア・パブリッシング
アンダース・ハンセン(2018)『一流の頭脳』,p.156-157,サンマーク出版
デイビッド・ロック(2019)『最高の脳で働く方法』,p.471,ディスカヴァー・トゥエンティワン
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