シルク(絹)製品は、毎日着用するインナーからパジャマ・おしゃれや紫外線対策用のスカーフまで、わたしたちの生活に欠かせないものになってきています。
そんなシルク(絹)製品ですが、お洗濯が心配…とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。高級素材のイメージが強いシルク(絹)ですが、実は自宅で簡単に洗濯できるんです。
ドレスやブラウスなどはクリーニングに出すこともありますが、インナーや寝具のような毎日使うものはなかなかそうはいきません。
今回は、自宅でシルクを洗濯するときの注意点やポイントについてご紹介します。
シルク(絹)の素材の特徴
繭衣で取り扱っているシルク(絹)製品は基本的にご自宅で洗濯が可能なものですが、シルク(絹)製品によっては洗濯ができないものもあります。
シルクは天然繊維のため、化学繊維に比べて虫食いやカビの被害に遭いやすく、しみ込んだ汗などをそのまま放置しておくとシミや色落ちの原因になってしまいます。
また、シルクは基本的に水に弱いものです。洗っていいんだ!と洗濯機に放り込んでざぶざぶ洗ってしまっては、せっかくのシルク(絹)の品質が台無しになってしまうことも。
今回ご紹介するポイントをしっかり押さえて、シルク(絹)の美しさを長く保つお洗濯をしましょう。
洗濯前の確認
シルク(絹)製品を洗濯する前に、まずは製品の「洗濯表示」をしっかりと確認しましょう。
桶に水が入っているイラストの「手洗いOKマーク」がついていれば手洗いで洗濯してもよい製品です。桶のイラストに✖が大きく描いてあるものは「手洗いNGマーク」ですので、自宅で洗濯することはあきらめて、クリーニング店にお願いしましょう。
また、〇の中にアルファベットのPやFが書かれているマークはそれぞれドライクリーニングができるという表示です。〇の中に何も書かれておらず、大きく✖だけが書いてある場合は、ドライクリーニングもNG。洗濯するということをあきらめなくてはいけません。
クリーニング屋さんにお願いするときは製品の表示をお店の方に確認していただき、どのクリーニング方法が最適なのかをお訊ねしたほうがいいでしょう。
使用する洗剤
シルク(絹)用の洗剤などもありますので余裕があれば用意するとなおよいですが、市販されているおしゃれ着洗い用の洗剤でOKです。
おしゃれ着用ではない普通の洗剤は弱アルカリ性。シルク(絹)はご存知の通りたんぱく質でできているので、たんぱく質でできた皮脂汚れを落とすための弱アルカリ性の洗剤だとシルク(絹)が劣化してしまいます。
旅行先で急に汚れてしまった場合などおしゃれ着用洗剤が用意できないときは、髪を洗うためのシャンプーでも代用OK。髪の毛もたんぱく質でできているので、シルク(絹)の繊維を傷めることなく洗えます。
洗濯の前に
手洗いOK表示のあるものでも、濡らすと色落ちや縮みが発生してしまうことがあります。
コーティングなど特殊加工のあるものだと、コーティング材が水に溶けてシミになってしまったり、海外の染色シルク(絹)製品だと色止めの加工が甘く、色が落ちてしまう場合もあります。洗濯OKだからといきなり全部を水につけてしまうとこれらが発生し、洗濯が失敗に終わってしまうことも…。
全体を洗濯する前に必ず洗っても問題ないかテストしましょう。まず目立たない部分に水を少し垂らします。5分ほど経ったら別の布でポンポンと優しくたたきます。布にシルク(絹)製品の色が移ったり、色がにじんだりシミができたのであれば、手洗いOK表示があっても水につけての洗濯はやめて、クリーニング店でドライクリーニングをお願いしましょう。
洗濯の手順
①洗い液を作る
冷たすぎる水だと汚れが落ちません。熱すぎても色落ちの原因になります。洗う水は20度くらいのぬるま湯がもっとも適しています。お風呂の残り湯は皮脂汚れがついてしまうリスクがありますので、なるべく新しいきれいなぬるま湯がベストです。
洗い桶を用意してぬるま湯をはり、おしゃれ着用洗剤を溶かします。洗剤の量は洗剤の表示にきちんと従いましょう。洗い液は多めに作っておいた方がきれいに洗いあがるコツです。
②洗う
洗濯OKでも、長時間シルク(絹)製品を水にさらしておくのは禁物!サッと洗ってサッとすすぎましょう!
シルク(絹)製品を裏返しにして、たたまずに両手でふわっと持ち、洗い液の中を泳がせるように左右に優しく振ります。軽く押し洗いでも構いません。複数ある場合も、必ず1枚ずつ洗うようにしてください。これを3回ほど繰り返します。
もし目立つ汚れがある場合には、スポンジを使って。ゴシゴシとこするのではなく、手のひらに広げた製品の上で軽く優しくポンポンとたたきましょう。
③すすぐ
すすぐ前にぎゅっとひねってしぼったりすると、刺激に弱いシルク(絹)製品の痛みの原因になってしまいますので避けましょう!手のひらの中に丸めて、洗剤を取るように軽く水を切る程度でOK。
洗う時と同じ20度くらいのぬるま湯を洗い桶にたっぷりと溜め、シルク(絹)製品を入れます。洗う時と同じように水の中で泳がせ、水を取り替えながら3回ほどすすいでいきます。
④脱水
当然ですが洗濯機の脱水は厳禁です!!摩擦に弱いシルク(絹)の繊維が傷み、毛羽立ちや毛玉ができて光沢が失われてしまいます!せっかくのシルク(絹)の性質が全部台無しになってしまいますので、絶対に使わないで。
すすぎの前のようにやさしく、ごく軽く水を切ったらタオルドライで脱水しましょう。
水を切ったシルク(絹)製品を振って伸ばし、広げたバスタオルの上に広げます。製品同士が重ならないようにタオルで包んだら、その上から軽く押してバスタオルに水分を吸わせて脱水を行います。
シルクは速乾性に優れているので、水分が残っていてもシワにならずきれいに乾きます!
⑤干す
シルク(絹)を干すときは必ず平干しで。洗濯ばさみで吊るしたり、ハンガーに掛けて干したりするとその部分にだけ負荷がかかり、型崩れの原因になります。セーターなどを干す平干し用ランドリーネットを利用すると◎!
形をしっかりと整えて平干しネットの上に置き、直射日光の当たらない風通しのよい場所に干しましょう。シルク(絹)は紫外線を吸収しますので、直射日光に当てすぎると偏食してしまうことがあります。
もちろん、乾燥機は絶対にNG!
アイロンはOK?
シルク(絹)製品にアイロンをかけたい場合は、洗った後の濡れた状態の時にかけましょう。その方が失敗が少ないからです。
生乾きのシルク(絹)製品を裏返しての裏側に当て布をし、中心から放射線状に大きく円を描くようにかけましょう。製品を回転させ移動させながら1/4ずつかけていきます。アイロンの温度は低温で。
乾いているシルク(絹)製品にどうしてもアイロンをかけなくてはいけない緊急の場合には、一度霧吹きなどで全体を湿らせてからアイロンをかけるようにしましょう。
もしも、ずっと収納していたシルク(絹)製品のシワをとりたい…というときは、クリーニングに出すことをおすすめします。
シルク(絹)お洗濯まとめ
今回ご紹介したお洗濯方法であれば、家庭でも気軽にシルク(絹)製品を洗うことができるので安心ですね!シルクの洗濯は手洗いが鉄則。シルクの性質と洗濯表示をよく確認して、失敗のないよう洗濯しましょう。
しかし、どうしても自信がない場合や絶対に失敗したくない場合は、クリーニング店にお願いするのが得策です。
これまでお洗濯が心配で、インナーやパジャマ・寝具などデイリーのシルク(絹)製品の購入をためらっていた方も、ぜひシルク(絹)製品に親しんていただきたいと思います。